マーケティングの2つの視点
「技術のマーケティング」が、どれほど重要かは、欧米間の技術格差についての研究からも明らかです。
ヨーロッパは技術志向であり、アメリカは市場志向です。
技術を経済的に意味あるものにするうえで、マーケティングが果たす役割の重要性は、かなり前から明らかになっていました。
たとえば、技術的に見て最高の電球を発明したのは、イギリスのジョセフ・スワンでした。
しかし、競争に勝ったのはエジソンでした。
それは、エジソンが市場に目を向けていたからです。
エジソンは、電力会社の立場に立って、どのようなものが必要か、どのようなものならば普及するかを考えました。
また、同時に消費者の立場から同じことを考えました。
技術的にはスワンの電球のほうが優れていたのですが、商品として成功するうえで必要な、電力会社と消費者という2つの市場の期待、行動、価値観に合致していなかったのです。
ほとんどの企業がマーケティングを、商品を売り渡すことによって報酬を得るための体系的な活動としか理解していません。
しかし急激な技術や認識の変化の時代では、2つの意味のマーケティングが必要になるのです。