1980年代の半ば、ドラッカーはアメリカの大企業に大きな憤りを感じていた。
CEOたちが「あまりに法外な報酬」を得ていたからである。
彼らは、多数の従業員を解雇して短期的な利益を上げると、数億円の給与や数十億円のストックオプション(自社株購入権)を手に入れていた。
ストックオプション制度のもとでは、マネジャーたちは、どうしても長期的な利益を犠牲にして、短期の利益を追求しようとする。
結果的に、将来を犠牲にするという望ましくない経営に走る。
ドラッカーは、こうした傾向に嫌気がさし、企業を批判するとともに、教会、大学、病院、ボランティア団体などの非営利組織の経営に関心を向けはじめた。